猫の病気の3大疾患で腎臓病の次に多いのが尿路疾患です。
猫の尿道結石(尿路結石)とは…
こちらの病気は圧倒的に男のコの病気です。
女のコでもなりますが、男のコに比べて尿道が太いので結石が尿路を詰まらせることはあまりありません。
食べたものの栄養素がうまく身体に吸収されず、残った栄養素の砂のようなカケラどうしがくっついて、結石となって尿道を詰まらせてしまいます。
そもそもこの結晶はお互いにくっつきあうようにできています。
尿を外に出さずに膀胱に多く貯めることによって、それぞれの小さな結晶がくっついて大きな結晶になり、これらが詰まりの原因になります。
尿道結石の見つけ方
年齢としては、私の知る限り一才くらいの若い男の子がこの病気になりました。
通常は、運動量が減るシニアの8才くらいから、また季節でいえば朝晩が涼しくなってくる秋の始まりのころに多く発症します。
なぜなら、人間でも同じですが、飲むお水の量が減ると膀胱に尿が溜まる時間が多くなり尿も濃くなるからです。
ある日、いきなりこの病気になるわけではなく、観察しているとなんとなくわかるものです。
まずは、猫はオシッコをした後に違和感が残るようでしきりに舐めはじめます。
この時点では、まだ尿道は完全には詰まっておらず、詰まりつつあるという感じです。
そして残尿感もあるため、何度もトイレに行き始めます。
トイレに行っても気持ちよくオシッコが出るわけではないので、やはりまた舐め始めます。
そのうちに、ずっとトイレにこもるようになり、飲まず食わずで動かなくなるのです。
ここまでくると、たいてい尿石が詰まっています。
感触としては、人間が膀胱炎になった時にとても似ています。
痛みのレベルでは、猫にとってはおそらく最高に痛いはずです。
それは、人間でも同じです。
人間が尿路結石になった時は、脂汗がだらだらと出て最高に痛いのです。
実は、一年ほど前に私もこの尿路結石になりました。
猛烈な痛みが時々おこり、でもそれはすぐに収まってしまったため治療のスタートも遅れました。痛みはすぐになくなるので、忘れてしまいました。
そしていきなりの血尿(痛みはまったくありませんでした)で気が付き病院へ駆け込みました。
アソコをしきりに舐める
何度もトイレに行ったり、トイレにこもったりする
血液が混じったオシッコをする
これらのサインが出、また季節が涼しくなるころなら間違いなく尿道の病気です。
また、女のコでも血尿が出るようなら、やはり石が尿管の血管を傷つけている可能性があるので病院で治療を受けましょう。
病院での検査
病院へ行って猫の状態を伝えるといとも簡単に
「それは結石だねー」と大抵言われます。
なぜかというと、病院にはかなりの患者さんがこの病気で病院へ来られるし、夏から秋にかけて朝晩が涼しくなる頃には患者さんの多くがこの病気、ということもあり得るからです。
なぜ秋口にこの病気が多いかというと、涼しくなって夏のようにはお水を沢山飲まなくなるからです。お水を多く飲めば当然オシッコの量も増え、石の混じったオシッコでも詰まることなく外へ流れ出てくれます。
病院ではまずはオシッコを採取して顕微鏡で石が混じってないか、また石の結晶がどんな形をしているか、をしらべてくれます。
尿を顕微鏡で見た時、結石の結晶がまるで雪の結晶を見た時のようにきらきらと光り、見てもとてもわかりやすいです。
また、場合によっては、エコーなどで調べてくださることもあります。
病院をペットホテルとして使ったときにオシッコを取っていただき、顕微鏡で調べてもらったり、もしくは一年に一回くらいはオシッコだけを持っていって調べてもらうと早期発見にもつながるし、猫にも負担がかかりませんので活用してみましょう。
病院での治療
病院での検査の結果、結石が詰まっている場合はいくつかの処置をしてくれます。
詰まりを取り除き、無事に尿が再びでるようにしてくれるわけですが、開腹手術ではないので比較的わかりやすい処置です。
詰まりのレベルによって処置の仕方は違います。
利尿剤を使ってオシッコがたくさん出るようにしたり
カテーテルを使って身体のそとから尿道の詰まりをいじって尿の流れをよくしたり
結石の量によっては24時間、点滴をしたりします。
でも、基本は同じ。
たくさんお水を飲んでもらって、たくさんおしっこをする
そのためにいろんな工夫をしてくれます。
家庭でできる工夫
それでは、おうちでできる尿路結石の病気の防ぎ方をお伝えしたいと思います。
まずは、できるだけたくさんのお水を飲んでもらいましょう。
お水の器は、一か所ではなく猫の好きそうな居場所のちかくや通り道に置いておくこと。
ふと目に入った時にお水を飲んでもらったり、また飲みたいなと感じた時にすぐそばにお水があるよう工夫しましょう。
猫は、変なこだわりが多いです。
ひげが何かに触れるのを嫌がる子が多いので、ひげが器や水に触れないように口が広くて浅いものを選びましょう。
また、水温や水の種類にもこだわることが多いです。
くみたてのお水が好きな子や、水道水が嫌いな子、時間がたってカルキの匂いがしないものを好む子も多いです。
また、水温も冷たいのやらぬるいのやら、こだわりがありますね。
特に冬場は少し気をつけてあげるといいですね。
私は、冬場は水に少しお湯をたしてあげるようにしています。
たまに、ミネラルウォーターを猫にあげているひとを見かけます。
こちらはやめておいたほうが無難です。
ミネラルウォーターの多くは通常よりも多くミネラルを含んでいます。
なかには天然水にミネラルを添加(付け足す)しているものも多くあります。
ミネラルウォーターは人が飲むことを基本に作られています。
体重におおきな差がある人と猫とでは、必要なミネラルの量も違います。
わざわざ、お金を払って必要以上のミネラルが入った水を猫に与えることはナンセンスです。
身体に吸収できないミネラルを多くとらせることは、尿路疾患の原因になります。
もうひとつは運動です。
多頭飼いなら、追いかけっこをしていい運動になります。
一匹飼いなら、猫じゃらしなどを使って運動させましょう。
運動することで喉がかわき、お水を飲んでくれるようになります。
あとは、キャットフードです。
生後8ケ月頃までは子猫用(キトン)のフード。
こちらは少しの量でたくさんのカロリーと栄養が入ってます。
当然、ミネラルも多いのです。
おおむね、避妊去勢のタイミングは生後8ケ月くらいですから、手術後は成猫用にしましょう。
また、フードもあまりにも安いフードは当然ながら原材料も粗悪なものがおおいです。
経済的に難しいなら、安いフードとそうでないフードを混ぜて与えるのも良いでしょう。
家庭でできる早期発見
オシッコをとって病院で顕微鏡検査やペーハー検査をしてもらう。
猫を連れて行くのがベストですが、気になる時はオシッコだけ持って調べてもらうことができます。
オシッコはできるだけ新しい容器に入れてもっていきます。
また前もって、先生の承諾をもらっておいたほうが良いでしょう。
この時に、オシッコのペーハーも調べてくれます。
トイレの砂を紙やおから系などの、オシッコの色のわかりやすいものにする。
猫が一番このむ猫砂の種類は鉱物系です。
一番自然に近いからですね。
いくつかの種類の猫砂を並べるとよくわかりますが、圧倒的に鉱物系が人気があります。
本来ならこの鉱物系の猫砂のトイレを用意してあげたいところですが、デメリットもあります。
それが、オシッコの色がわからないという事です。
真っ赤な血尿ならわかりますが、すこし血がにじんだくらいでは鉱物系の猫砂ではわかりません。
微々たる量の血尿でも、あの小さな身体の血液が少しづつ漏れ出るわけですから、貧血などにも簡単につながります。
オシッコの色を見分けるなら断然紙の砂、それも色が変わるものではなく濡れても白いままの紙砂がオススメです。
我が家の猫たちの健康チェックはまずこのトイレです。
多頭飼育なので、それぞれのおしっこの色の違いに驚くくらいです。
白っぽいなら、腎臓系の病気を疑うし、黄色が強ければ肝臓系の病気を疑い病院へ連れていきます。
ペーハーがわかる猫砂を時々使う。
オシッコだけを持って病院で検査してもらう時には、たいがいph(ペーハー)検査もしてくれます。
このペーハーの数値で、ある程度尿路疾患の予想ができたりしますのでオススメです。
また、最近はこのペーハーを調べる試験紙や猫砂も販売されています。
まとめ
オシッコの色で何度も病気の早期発見をしてきました。
ごはんを食べなくなってもすぐには病院へ連れては行きにくいですよね。
まったく食べないことやお腹の調子がわるいこと、吐き気もあるようだ、など複数の症状で病院へ行く、というのが普通ではないでしょうか。
その点、オシッコの異常は明らかな異常です。
飼い主さんの背中を強くおしてくれます。
どうか日々、オシッコ点検をして愛猫ちゃんの健康を見守ってあげてくださいね。
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